現象学入門

著者:竹田青嗣
NHK出版(1989年第1版)

目次
第一章 現象学の基本問題
1.「近代哲学の根本問題」・・・「主観と客観」
2.近代の哲学者たち-デカルト、カント、ヘーゲルニーチェ

第二章 現象学的「還元」について
1.発想の転換・・・デカルトの「夢」について
2.「還元」の意味・・・「確信」の生じる条件
3.「諸原理の原理」・・・確実なものの底
4.知覚直観と本質直観(本質観取)
5.まとめ

第三章 現象学の方法
1.自然的態度、素朴な世界像について
2.〈還元〉の開始・・・エポケーの方法
3.「純粋意識」という残余、超越論的主観について
4.超越論的主観における「世界の構成」
5.事象は「志向的統一」である
6.〈内在ー超越〉原理
7.意味統一としての「経験」・・・自我という極の意味
8.〈ノエシスノエマ〉構造

第四章 現象学の展開
1.近代的な世界像の成立
2.超越論的主観性と間主観性ー他我経験の現象学
3.生活世界の現象学

第五章 現象学の探求
1.現象学的"反批判"
2.サルトルとポンティー現象学の難問
3.ハイデガー存在論の挑戦
4.まとめ

現象学入門/用語解説







〈内容と感想〉
簡単に書いてはくれてるけど、用語はたくさん出てきて難しい。けど巻末に用語集もあるから大丈夫。^_^
現象学って何?って人には最高の本だと思う。フッサールって何した人かよく分かる。(何より筆者の説明がわかりやすい)
本書から抜粋、「現象学とは、事実学(科学)ではなく、本質学(意味を考える)である。」
後に、ハイデガー、ハーレントやレヴィナスに受け継がれていくことになる現象学に触れることができる本。


〈用語〉
現象学
フッサールがとなえた哲学で、世界が存在すると素朴に信じる日常の「自然的態度」から、純粋な意識の内面に立ち返り、そこにあらわれる現象をそのままに記述する。日常の経験では、世界は意識を超越して、意識の外にそれ自体で存続し、自我は世界の内部で他のものと並ぶ1つの経験的な事実と信じられている。意識は常に自らを超えて、意識の外へと向かう志向性をもっているが、現象学は、このような意識の志向する外界の実在性についての素朴な思い込みを括弧に入れて停止する(エポケー)。そして、「事柄(事象)そのもの」へをモットーに、内面的な純粋意識の事実に立ち返り(現象学的還元)、意識の内面にあらわれる現象をありのまま記述する。

山川出版社 倫理用語集より

形相的還元
純粋自我から、自然的世界像の妥当の構成へ向かう構造の解明。〈私〉の世界像のありようにエポケーを施し、〈私〉のうちに現にあるさまざま言葉の"意味・本質"を本質直観(形相的に還元)するということ。

本書p129

そのほかの用語
・ドクサ、憶見
・明証性
・内在-超越
ノエシス-ノエマ
・本質直観(本質観取)
・生活世界
間主観性
・他我・他者
・志向性
・厳密学