レヴィナス入門

著者:熊野純彦
1999年 筑摩書房

[目次]
第一章 思考の背景
ブランショベルクソンフッサールハイデガー
第ニ章 存在と不眠
私が起きているのではなく夜自身が目覚めている
第三章 主体と倦怠
存在することに耐えがたく疲れてしまう
第四章 享受と身体
ひとは苦痛において存在へと追い詰められる
第五章 他者の到来
他者は私にとって〈無限〉である
第六章 世界と他者
他者との関係それ自身が〈倫理〉である
第七章 問題の展開
自己とは〈私〉の同一性の破損である
第八章 志向と感受
顔はいつでも皮膚の重みを課せられている
第九章 他者の痕跡
気づいた時にはすでに私は他者に呼びかけられている

[内容]

争いが絶えない世界、レヴィナスは考えた…。
ひとりの哲学者が何故「他者」にこだわるのか。
悲惨な過去の体験を通して生み出された著書を解説してくれる本。
入門書だから読み易く解説されているけど、内容は抽象的で難解。だから自分なりに理解するしかない…。
他者は絶対的な差異である。自己完結から救い出してくれる無限の存在である。
本書を読んだだけで、レヴィナスの思想を理解できるほど簡単だとは思ってないが少しでも触れられただけで良かった。
日常生活で、様々な人間関係の悩みに直面した時に、思い出してみたい。













[用語] 山川出版:倫理用語集より
イリヤilya(仏)
恐怖として体験される無意味な存在、不気味なただ「あること」をさす。

全体性
人間が自己を中心に全体化した存在。


自己にとって絶対的に他なるものとして迫ってくる、他者の存在を指す。

全体性と無限
レヴィナスの主著で1961年刊行。人間が自己を中心に築いた全体的世界は、他者を自己のもとに支配し、他者への暴力を生む。自己の全体性を無限に超越する他者の「顔」と出会い、自己が他者を倫理的に受け入れる時、人間は無限へと開かれて倫理的な主体となる。