これからの正義の話をしよう

著者-マイケル・サンデル 訳-鬼澤忍

<目次>
[1章]正しいことをする
福祉、自由、美徳

[2章]最大幸福原理
ジェレミーベンサム功利主義

[3章]私は私のものか?ーリバタリアニズム(自由至上主義)

[4章]雇われ助っ人ー市場と道徳

[5章]重要なのは動機ーイマヌエル・カント
権利に対するカントの見方

[6章]平等の擁護ージョン・ロールズ

[7章]アファーマティブ・アクションをめぐる論争

[8章]誰が何に値するか?ーアリストテレス
正義、目的因、名誉

[9章]たがいに負うものは何か?忠誠のジレンマ

[10章]正義と共通善
中立への切望

[内容]
第1章は、「正しいこと」とは何か問題提起する。台風や災害後の便乗値上げの問題など。自由市場を擁護するか、美徳や福祉が優先されるべきか。
第2章は功利主義の利益重視の考えは、本当に正しいのか?
第3章はリバタリアニズムについて、何でも「自由」が正しいことのなのか?
第4章は自由市場は公平なのか?金銭を払って他人にやらせることの道徳性について。
第5章は「権利」について、カントの考え。人間の権利とは。「本当の自由」とは。
第6章は、身分、格差の問題と平等主義、実力主義についてロールズの考え。人生は公平か?
第7章は、アファーマティブ・アクションについて。
第8章は、正義についてアリストテレスの考え。名誉、美徳、善き生について。
第9章は正義と自由について個人主義(主意主義)と物語的考え方。連帯と責任、帰属、忠誠。
第10章は政治に道徳や宗教を持ち込むことについて進歩主義の考え。



[用語]
自由放任主義
レッセフェール。政府が企業や個人の経済活動に干渉せず市場のはたらきに任せること」を指す。経済用語。

功利主義
ベンサムが提唱した理論。人間は快と不快に支配されている。この事実を認め、道徳生活と政治生活の基本に据える。道徳の至高の原理は幸福、すなわち苦痛に対する快楽の全体的な割合を最大化すること。自分の利得を最大化するように、合理的に行動すること。

リバタリアニズム
自由至上主義。制約のない市場を支持し、政府規制に反対する。

リベラリズム
人は誰でも自由に生きる権利があるとする考え方。

アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)

善き生
アリストテレスにとって「善」とは道徳の根拠。我々(人間)の本性(目的)を実現し、人間特有の能力を磨くこと。

コミュニタリアン(共同体主義)
個人のアイデンティティ(歴史的記憶、信仰、連帯など)を切り離して、正義や権利を論じることはできないという考え方。

物語的考え方
人間が道徳的行為者として、目的や目標に至る方法。
物語として人生を捉える。「人間は物語る存在だ。我々は物語の探求としての人生を生きる」
アラスデア・マッキンタイア著書「美徳なき時代」



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