史上最強の哲学入門 東洋編

著者:飲茶
河出書房 2016

[目次]
まえがき
東洋哲学とは何か?(1)ー東洋哲学は「ピラミッド」である
第一章 インド哲学
1ヤージュニャヴァルキヤ
2釈迦
3龍樹
東洋哲学とは何か?(2)ー東洋哲学は「ただの耳」である

第二章 中国哲学 タオの真理
戦国時代に登場した哲人たち 諸子百家
4孔子
5墨子
6孟子
7荀子
8韓非子
9老子
10荘子
東洋哲学とは何か?(3)ー東洋哲学とは「ウソ」である

第三章 日本の哲学 禅の真理
日本仏教の歴史 聖徳大使~徳川幕府
11親鸞
東洋哲学のエッセンス 禅の歴史
12栄西
13道元
悟りを超えて 十牛図
あとがき

[内容と感想]
全てはインドから始まった。インドから始まり日本に伝わった仏教。その歴史を辿る本。仏陀の弟子が仏教を広めて中国に渡り、中国から日本に伝わり仏教となる。
中国の道教の考え方も素晴らしいし深い。ただ個人的には第三章の仏教編が一番熱かった。日本は聖徳太子から仏教が広まっていった。
それから空海最澄へ…。日本の歴史の本としても使える。


[用語]
世間虚仮(せけんこけ)・・・「世界は分別によって作られた虚構である」
唯物是真(ゆいぶつぜしん)・・・「しかし、唯一、仏だけが真である」

最澄(さいちょう)日本天台宗比叡山延歴寺)
空海(くうかい)日本真言宗高野山金剛峯寺
親鸞(しんらん)浄土真宗・・・阿弥陀仏の本願(苦しんでいる人々を全員助けたい)の人。「他力本願」。法然という偉い人の弟子。
栄西(えいさい)臨済宗(りんざいしゅう)の偉いお坊さん。
道元(どうげん)日本曹洞宗の開祖。只管打座(ひたすら座禅にうちこむ)

よく生きる

著者:岩田靖夫
筑摩書房 2005

[目次]
第1章 幸福(生きる
幸福とはなにか
ソクラテスにおける「生」と「生のかなた」)
第2章 他者(孤独の突破
人間の高さ)
第3章 神(ギリシア人の神
ソクラテスの神
妙高人と絶対他力
他者を求める神
神の高さと低さ)
第4章 社会(市民の概念と人間の平等
デモクラシーの基礎と未来
現代の政治哲学)

[内容と感想]
幸福とは何かについて、東西の哲学や宗教を語りながら説明する。とくにレヴィナスがよく出てくる。他者との関係、また神とは何かと。
ソクラテスが言う「よく生きること」とは?
「正しく生きる」ことなのだと。当たり前のことかもしれないけど、それが簡単にできない。
何故か。自分を捨てなければならないから。
「愛」とは何か?なぜ、「挨拶」することが大切なのか。
ギリシアから現代まで、仏教、キリスト教、様々な思想との対話ができる本。何度も読みたい、そんな本。
この本を読んで、次はアランの「幸福論」に続けたくなった。アランは騎士道の人だと誰かが言っていた。自分の命を捨てても、生き方を貫く。そんな姿勢に憧れる。

プラグマティズム入門

著者-伊藤邦武
ちくま書房 2016

【目次】
序章 プラグマティズムとは何か(複数の誕生と再生
ジェイムズの考えた「プラグマティズムの意味」)
第1章 源流のプラグマティズム(パース
ジェイムズ 
デューイ)
第2章 少し前のプラグマティズムクワイン
ローティ
パトナム)
第3章 これからのプラグマティズム(ブランダム
マクベスとティエルスラン

  • ハークとミサック)

【人物像と思想や概念】
・チャールズ・パース(1839~1914)プラグマティズムの最初の提唱者。
父が数学者でその影響を受ける。形式論理学における革命という形で具体化していく。デカルト以来の哲学の思想的前提や問題設定を批判する。
言語や記号ぬきには思考や認識することできないこと主張した。活動あるいは行為、実践のことをギリシア語で「プラグマ」と呼ぶ。
デカルト的な懐疑を否定して、行為を可能する認識の役割を吟味しようとする「行為」を軸に考える認識論は「プラグマティズム」と呼ばれる。
中心概念「明晰さの第三段階」「プラグマティックな格率」


ウィリアム・ジェイムズ(1842~1910)パースの盟友。
パースと同じ科学者であり、専門分野は生理学・心理学・宗教学。
プラグマティズムの発想を「真理」「価値」などような抽象的な概念にも適用しようとした。
中心概念「信じようとする意志」「純粋経験」「多元的宇宙論」「中世一元論」


ジョン・デューイ(1859~1952)パース、ジェイムズとは親しい友人。
学校教育、政治、芸術など幅広く活躍した20世紀を代表する国際的な知識人。ヘーゲル主義とダーウィンの進化論を重ねて人間の認識作用について独自の研究を進める。パースの「探求の論理」という発想をこの哲学の中心的な思想と理解して我々の経験や理性がもつ「実験的な性格」を強調すると同時にその言語的・社会的な性格にも注目した。
中心概念「保証付きの言明可能性」「民主主義」

クワイン(1908~2000)
論理実証主義からネオプラグマティズムを提唱した人。
中心概念「経験主義の二つのドグマ」「根底的翻訳の不確実性」

リチャード・ローティ(1931~2007)
ネオプラグマティズムを発展させる。
認識論における基礎付け主義、真理についての本質主義、言語に関する表象主義として性格づけたうえでそれぞれが破綻していると主張。
中心概念「連帯」「自文化中心主義」


【感想】
第二章のネオプラグマティズムまで188ページで息切れしてしまった。しばらく時間をおいて続きを読もうと思う。 

現代思想入門

著者:千葉雅也
講談社2022

[目次]
はじめに 何故いま現代思想
第一章 デリダ――概念の脱構築
第二章 ドゥルーズ――存在の脱構築
第三章 フーコー――社会の脱構築
ここまでのまとめ
第四章 現代思想の源流――ニーチェフロイトマルクス
第五章 精神分析現代思想――ラカンルジャンドル
第六章 現代思想のつくり方
第七章 ポスト・ポスト構造主義
付録 現代思想の読み方

[内容・感想]
本書の内容から、現代はポスト構造主義ポストモダン(近代)の時代。相対主義。なんでもありの世界になってしまう。
しかし、現代思想には相対主義的な面がある。脱構築という概念は、本当の意味ではそうではない。
私たちは、普段から二項対立という考え方で物事を捉えている。そもそも二項対立のどちらがプラスかは、絶対的には決定できない。
デリダは「概念の脱構築」、ドゥルーズは「存在の脱構築」、フーコーは「社会の脱構築
まず、デリダ。筆者いわく、ポスト構造主義(現代思想)は「差異の哲学」である。同一性と対立している。
差異の哲学とは?
「人間は過剰なエネルギーの解放と有限化の二重のドラマを生きている」
感想だが、著者のわかりやすい解説で第7章まで一気に読める。最後のポスト・ポスト構造主義のまとめ方がすごく良いと思った。

[人物・キーワード]
ジャック・デリダ
二項対立
ポスト構造主義
同一性と差異
パロールエクリチュール
本質と非本質
ジル・ドゥルーズガタリ
リゾーム
仮固定(準安定状態)
生成変化
非意味的切断
全体性
逃走線
ミシェル・フーコー
権力
正常と異常
近代化
規律訓練
自己監視
生政治
多様性
古代人
自己への配慮
ニーチェ
デュオニュソスとアポロン
秩序と混乱
ショウペンハウアー
盲目的な意志
無と力
フロイト
無意識
精神分析 
偶然性
カント
物自体
超越論的なもの
表象と事物
有限
マルクス
下部構造
剰余価値
ジャック・ラカン
過剰な動物
欲動
倒錯
疎外
享楽
去勢(エディプス・コンプレックス)
欠如
想像界象徴界現実界
本当のもの
ピエール・ルジャンドル
ドグマ人類学
ドグマティック
儀礼
否定神学
近代的な有限性
複数的な超越論性
レヴィナス
全体性と無限
存在の地平と他者
存在するとは別の仕方で
ポスト・ポスト構造主義
逆張り
カトリーヌ・マラブー
形態
可塑性
カンタン・メイヤスー
思弁的実在論
絶対的同一性
偶然的
決定不可能性(相対性)
自然科学的世界像
グレアム・ハーマン
オブジェクト指向存在論
内在性
ラリュエル
非哲学(思弁科学)
一者論
日本現代思想
意味づけ
東浩紀
複数的な超越論性
否定神学システム
原罪
古代ローマ
セネカ
反省
生活のタスク
喜劇的
アクション
事物それ自体へ
絶対的偶然性

社会学史

著者-大澤真幸
講談社2019

[目次]
第1部 社会学の誕生――近代の自己意識として
1.古代の社会理論 アリストテレス
2.社会契約の思想 社会学前夜
グロティウス/パスカルホッブズ/ロック/ルソー/スミス
3.社会科学の誕生
コント/スペンサー
4.マルクス――宗教としての資本主義
エンゲルス/カント/フォイエルバッハヘーゲルフィヒテ

第2部 社会の発見
1.フロイト――無意識の発見
2.デュルケーム――社会の発見
3.ジンメル――相互行為としての社会
4.ヴェーバー――合理化の逆説

第3部 システムと意味
1.パーソンズ――機能主義の定式化
トマス/パーク/マートン
2.〈意味〉の社会学
   ミード/シュッツ/ブルーマー/ガーフィンケル/ゴフマン/ベッカー
3.意味構成的なシステムの理論――ルーマンフーコー
レヴィ=ストロースデリダブルデューハーバーマス
4.社会学の未来に向けて
  ボードリヤール/リオタール/ギデンズ/バウマン/トッド/メイヤスー


[内容・感想]
「社会秩序はいかにして可能か?」という壮大かつ、難解なテーマについて社会学者達の考えを解説しながら考える本。
630ページもある分厚い本。著者が分かりやすく解説してくれるのでスッキリ内容が入ってきました。(まさに帯に書いてある通り)
これは社会学という分野、人間社会をテーマに扱った研究や哲学なども含む壮大な学問の入門書。
ここから、また色々な本について知りたくなった。
特に、マックス・ヴェーバーという学者に興味を持った。
鬱でありながら、大変優れた論文を書いたドイツの学者らしい。第一次大戦あたりがピークだった人だ。
現代では、あまり優秀な学者が生まれにくいのか、、、。
社会秩序については、最後に本書の中で書かれますが、、、。秘密㊙️



https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000210935

レヴィナス入門

著者:熊野純彦
1999年 筑摩書房

[目次]
第一章 思考の背景
ブランショベルクソンフッサールハイデガー
第ニ章 存在と不眠
私が起きているのではなく夜自身が目覚めている
第三章 主体と倦怠
存在することに耐えがたく疲れてしまう
第四章 享受と身体
ひとは苦痛において存在へと追い詰められる
第五章 他者の到来
他者は私にとって〈無限〉である
第六章 世界と他者
他者との関係それ自身が〈倫理〉である
第七章 問題の展開
自己とは〈私〉の同一性の破損である
第八章 志向と感受
顔はいつでも皮膚の重みを課せられている
第九章 他者の痕跡
気づいた時にはすでに私は他者に呼びかけられている

[内容]

争いが絶えない世界、レヴィナスは考えた…。
ひとりの哲学者が何故「他者」にこだわるのか。
悲惨な過去の体験を通して生み出された著書を解説してくれる本。
入門書だから読み易く解説されているけど、内容は抽象的で難解。だから自分なりに理解するしかない…。
他者は絶対的な差異である。自己完結から救い出してくれる無限の存在である。
本書を読んだだけで、レヴィナスの思想を理解できるほど簡単だとは思ってないが少しでも触れられただけで良かった。
日常生活で、様々な人間関係の悩みに直面した時に、思い出してみたい。













[用語] 山川出版:倫理用語集より
イリヤilya(仏)
恐怖として体験される無意味な存在、不気味なただ「あること」をさす。

全体性
人間が自己を中心に全体化した存在。


自己にとって絶対的に他なるものとして迫ってくる、他者の存在を指す。

全体性と無限
レヴィナスの主著で1961年刊行。人間が自己を中心に築いた全体的世界は、他者を自己のもとに支配し、他者への暴力を生む。自己の全体性を無限に超越する他者の「顔」と出会い、自己が他者を倫理的に受け入れる時、人間は無限へと開かれて倫理的な主体となる。

現象学入門

著者:竹田青嗣
NHK出版(1989年第1版)

目次
第一章 現象学の基本問題
1.「近代哲学の根本問題」・・・「主観と客観」
2.近代の哲学者たち-デカルト、カント、ヘーゲルニーチェ

第二章 現象学的「還元」について
1.発想の転換・・・デカルトの「夢」について
2.「還元」の意味・・・「確信」の生じる条件
3.「諸原理の原理」・・・確実なものの底
4.知覚直観と本質直観(本質観取)
5.まとめ

第三章 現象学の方法
1.自然的態度、素朴な世界像について
2.〈還元〉の開始・・・エポケーの方法
3.「純粋意識」という残余、超越論的主観について
4.超越論的主観における「世界の構成」
5.事象は「志向的統一」である
6.〈内在ー超越〉原理
7.意味統一としての「経験」・・・自我という極の意味
8.〈ノエシスノエマ〉構造

第四章 現象学の展開
1.近代的な世界像の成立
2.超越論的主観性と間主観性ー他我経験の現象学
3.生活世界の現象学

第五章 現象学の探求
1.現象学的"反批判"
2.サルトルとポンティー現象学の難問
3.ハイデガー存在論の挑戦
4.まとめ

現象学入門/用語解説







〈内容と感想〉
簡単に書いてはくれてるけど、用語はたくさん出てきて難しい。けど巻末に用語集もあるから大丈夫。^_^
現象学って何?って人には最高の本だと思う。フッサールって何した人かよく分かる。(何より筆者の説明がわかりやすい)
本書から抜粋、「現象学とは、事実学(科学)ではなく、本質学(意味を考える)である。」
後に、ハイデガー、ハーレントやレヴィナスに受け継がれていくことになる現象学に触れることができる本。


〈用語〉
現象学
フッサールがとなえた哲学で、世界が存在すると素朴に信じる日常の「自然的態度」から、純粋な意識の内面に立ち返り、そこにあらわれる現象をそのままに記述する。日常の経験では、世界は意識を超越して、意識の外にそれ自体で存続し、自我は世界の内部で他のものと並ぶ1つの経験的な事実と信じられている。意識は常に自らを超えて、意識の外へと向かう志向性をもっているが、現象学は、このような意識の志向する外界の実在性についての素朴な思い込みを括弧に入れて停止する(エポケー)。そして、「事柄(事象)そのもの」へをモットーに、内面的な純粋意識の事実に立ち返り(現象学的還元)、意識の内面にあらわれる現象をありのまま記述する。

山川出版社 倫理用語集より

形相的還元
純粋自我から、自然的世界像の妥当の構成へ向かう構造の解明。〈私〉の世界像のありようにエポケーを施し、〈私〉のうちに現にあるさまざま言葉の"意味・本質"を本質直観(形相的に還元)するということ。

本書p129

そのほかの用語
・ドクサ、憶見
・明証性
・内在-超越
ノエシス-ノエマ
・本質直観(本質観取)
・生活世界
間主観性
・他我・他者
・志向性
・厳密学